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松井常松

2009.12.8

ライブレポート
ヴォーカリスト/ベーシストとしてさらなる進化を見せた20TH ANNIVERSARY “LIVE HORIZON” 11月8日(日)表参道FAB

 松井常松は近年、ナイロン弦ギターを手にヴォーカリスト/ソン グライターとして活動の場を広げてきた。また昨年から今年にかけ てはソロデビュー20周年を見据えての準備を水面下で続けて きたせいか、イベントなどを除いては2年振りとなったライブであ る。さらにベースを弾き歌うライブにいたってはなんと11年 振り! 自身の集大成であると同時に今後の予告編を織り交ぜた待 望のニューアルバム『HORIZON~20TH ANNIVERSARY~』 (ハドソンミュージックエンターテイメント)をリリースして、札 幌、東京、福岡と全国3カ所のツアーが遂に実現である。これを 待っていたひとは多かった。実際僕が足を運んだ表参道FABで は開演時刻前から「アニキーっ!」「松井ーっ!」と開演を待ちき れない声が響いていたほど。ポール・ウェラーのベスト盤が開演前 BGMで流れる中、老若男女問わず広い層のオーディエンスでみるみる うちにフロアが埋まっていく。彼らのうちの何割かは間違いなく BOφWYは後追いなんだろう。気になるステージにはキーボー ド、マニピュレートシステム、ドラム、ギターアンプ、そしてベー スアンプが並んでいる。そして中央にはファクターベース! 後に これをモチーフにゾディアックワークスでカスタムメイドベースを 作るほど松井常松にとってお気に入りの1本だが、いまだ先進性を 失わないデザインフォルムが何処かニューウェーヴィなイメージを も醸し出している。 “LIVE HORIZON”の相棒として選んだのは 演奏性とともにその辺の想いも大きかったのではないか。

 バンドメンバーによる「Bible Of The Dreams」をオープニ ング代わりに、サングラスにレザージャケットの松井常松が満を持 しての登場。ファクターベースを手にしてファットなベースリフを 刻みだす。この瞬間、“松井常松が還ってきた!”というタイトル ロゴが脳裏の映像に浮かび上がった。一見クールだがヒリヒリする ような熱と鋭利さをともなったバンドサウンドが見事なオープニン グを演出する。さらには稲葉 智(g)がファンにはお 馴染みのディレイリフを刻みだして、松井常松のソロデビューを飾った 「YOROKOBI NO UTA」が奏でられていく。あえてヴォーカルレ ス、ソリッドなベースラインを主軸に備えた『HORIZON』アレ ンジによってプレイされた。さらにファンとの再会を祝すようにこ れまたお馴染みのシャッフルビートナンバー「抱きしめたい」へ。 プレイスタイルとしてはベースを弾きながらヴォーカルを取りつ つ、歌に集中する部分に関しては同期でベースサウンドを鳴らす“BLACK AND WHITEツアー”以後で踏襲されているスタイル。ただ当時を振り 返ると、弾いている音と同期の音の差の違和感をやや感じた場面も あったのを思い出すが、久々のツアーにおいてその辺の違和感など は皆無。手元が観えなかった後方のオーディエンスにはフルでベー スを弾きながら歌っていたように聴こえたはず。息の合ったバンド アンサンブルも魅力的だったが出音のバランスの良さ、クリアさも 素晴らしかった。それにしても今回のツアーで特筆すべきはヴォー カリスト・松井常松の進化だろう。十八番の8ビートにリアレンジ された「SHADOW OF THE MOON」を筆頭に、「密室の BALLERI」「WORK!WORK!WORK!」などの『HEAVEN』収録 曲で、そのウェットで滑らかなかつ伸びやかなヴォーカリゼーション が“Nylon Nights”を経て確立されているのを感じた。

 また「PVも撮ったしこの曲を演らないわけにはいかないよ ね」と披露された「WORKING MAN」、エレクトリックアレンジ では初披露の「RAIN IN MY HEART」「LIKE A CHILD」の BOφWYセルフカヴァーも今回の大きな観どころ。特 に“1、2!!”カウントが加味されたりアレンジ「WORKING MAN」は早くもオーディエンスに浸透しており、みんなでカウントを 叫んでいた。「WORKING MAN」は今後ライブの定番レパート リーになるのではないか。そしてヴォーカリスト・松井常松を強く 感じさせたのは中盤のピアノセットである。「WEDNESDAY」は 『GLACIER』のダンスビートアレンジと異なりピアノアレンジ でしっとりと聴かせるのがライブでの定番。とりわけ 『HORIZON』では堀田健志(key)による入魂のヴォイ シングによるピアノアレンジが施されており、『GLACIER』ツ アーのときと全然違う印象が興味深い。グッとアダルトでスケール 感たっぷりなバラードの装いである。さらに驚かされたのは同様に ピアノセットで披露された「時の渚」で、荘厳ながらもストイック なメロディが印象に残った。同様に意外な線といえばエレクトリッ クセットでの「ILLOGIC」も挙げられるだろう。「世界は光に 満ちあふれてる」と両極にある歌詞が今聴くと非常に興味深かった り…。本編の締めは久しぶりに森雪之丞とのソングライターコンビ が復活した新曲「It’s Alright, Daddy」「Do-It- Again」。『HORIZON』は集大成意味合いとともに松井常松の 未来も提示されているアルバムであり、「YOROKOBI NO UTA」 で始まり新曲で幕を下ろす構成は狙いだったはずだ。

 とは言え、これでやすやすと帰路につくようなオーディエンスで はない。当然のごとく引っぱりだされてのアンコールは、「おそら くみんなが聴きたい曲はこれじゃないかな」とのMCで披露さ れた「あの頃僕らは」。あの頃を歌うとともに現在、そして未来を 誓う歌詞が普遍なものとなっていることも16年を経て僕らは 知ったのだ。そしてダブルアンコールでは年末発売のR&Rカヴァーアルバム『RAVE ON』より、バディ・ホリーのヒットナ ンバー「RAVE ON」をいち早く披露してフィナーレ。90 分あまりと幾分コンパクトな内容ではあったが、“Nylon Nights”で育んできたフレンドリーなMCも随所で織り交ぜて の実にハッピーなステージだった。そしてソロライブの最新にして 最高のステージングだったのではないか? ソロデビュー20 周年を経た松井常松がベース、あるいはナイロン弦ギターを手にし て、コンスタントにステージに立ってくれることを欲するのはオー ディエンスの創意だと思うが、ソロアーティスト/フロントマンと して新たな黄金期に入っている手応えは間違いなく感じられたので ある。そして2009年はこれで終わりじゃない。年末には PERSONZをゲストアクトに渋谷サイクロン公演も待ち受けている。ま たベースを手に歌い上げる松井常松の姿がそこにはあるはずだ。待 ちわびた11年は氷解しつつあるのだ。

Player 北村和孝
http://www.player.jp/

2009.12.8

ライブレポート
ヴォーカリスト/ベーシストとしてさらなる進化を見せた20TH ANNIVERSARY “LIVE HORIZON” 11月8日(日)表参道FAB

 松井常松は近年、ナイロン弦ギターを手にヴォーカリスト/ソン グライターとして活動の場を広げてきた。また昨年から今年にかけ てはソロデビュー20周年を見据えての準備を水面下で続けて きたせいか、イベントなどを除いては2年振りとなったライブであ る。さらにベースを弾き歌うライブにいたってはなんと11年 振り! 自身の集大成であると同時に今後の予告編を織り交ぜた待 望のニューアルバム『HORIZON~20TH ANNIVERSARY~』 (ハドソンミュージックエンターテイメント)をリリースして、札 幌、東京、福岡と全国3カ所のツアーが遂に実現である。これを 待っていたひとは多かった。実際僕が足を運んだ表参道FABで は開演時刻前から「アニキーっ!」「松井ーっ!」と開演を待ちき れない声が響いていたほど。ポール・ウェラーのベスト盤が開演前 BGMで流れる中、老若男女問わず広い層のオーディエンスでみるみる うちにフロアが埋まっていく。彼らのうちの何割かは間違いなく BOφWYは後追いなんだろう。気になるステージにはキーボー ド、マニピュレートシステム、ドラム、ギターアンプ、そしてベー スアンプが並んでいる。そして中央にはファクターベース! 後に これをモチーフにゾディアックワークスでカスタムメイドベースを 作るほど松井常松にとってお気に入りの1本だが、いまだ先進性を 失わないデザインフォルムが何処かニューウェーヴィなイメージを も醸し出している。 “LIVE HORIZON”の相棒として選んだのは 演奏性とともにその辺の想いも大きかったのではないか。

 バンドメンバーによる「Bible Of The Dreams」をオープニ ング代わりに、サングラスにレザージャケットの松井常松が満を持 しての登場。ファクターベースを手にしてファットなベースリフを 刻みだす。この瞬間、“松井常松が還ってきた!”というタイトル ロゴが脳裏の映像に浮かび上がった。一見クールだがヒリヒリする ような熱と鋭利さをともなったバンドサウンドが見事なオープニン グを演出する。さらには稲葉 智(g)がファンにはお 馴染みのディレイリフを刻みだして、松井常松のソロデビューを飾った 「YOROKOBI NO UTA」が奏でられていく。あえてヴォーカルレ ス、ソリッドなベースラインを主軸に備えた『HORIZON』アレ ンジによってプレイされた。さらにファンとの再会を祝すようにこ れまたお馴染みのシャッフルビートナンバー「抱きしめたい」へ。 プレイスタイルとしてはベースを弾きながらヴォーカルを取りつ つ、歌に集中する部分に関しては同期でベースサウンドを鳴らす“BLACK AND WHITEツアー”以後で踏襲されているスタイル。ただ当時を振り 返ると、弾いている音と同期の音の差の違和感をやや感じた場面も あったのを思い出すが、久々のツアーにおいてその辺の違和感など は皆無。手元が観えなかった後方のオーディエンスにはフルでベー スを弾きながら歌っていたように聴こえたはず。息の合ったバンド アンサンブルも魅力的だったが出音のバランスの良さ、クリアさも 素晴らしかった。それにしても今回のツアーで特筆すべきはヴォー カリスト・松井常松の進化だろう。十八番の8ビートにリアレンジ された「SHADOW OF THE MOON」を筆頭に、「密室の BALLERI」「WORK!WORK!WORK!」などの『HEAVEN』収録 曲で、そのウェットで滑らかなかつ伸びやかなヴォーカリゼーション が“Nylon Nights”を経て確立されているのを感じた。

 また「PVも撮ったしこの曲を演らないわけにはいかないよ ね」と披露された「WORKING MAN」、エレクトリックアレンジ では初披露の「RAIN IN MY HEART」「LIKE A CHILD」の BOφWYセルフカヴァーも今回の大きな観どころ。特 に“1、2!!”カウントが加味されたりアレンジ「WORKING MAN」は早くもオーディエンスに浸透しており、みんなでカウントを 叫んでいた。「WORKING MAN」は今後ライブの定番レパート リーになるのではないか。そしてヴォーカリスト・松井常松を強く 感じさせたのは中盤のピアノセットである。「WEDNESDAY」は 『GLACIER』のダンスビートアレンジと異なりピアノアレンジ でしっとりと聴かせるのがライブでの定番。とりわけ 『HORIZON』では堀田健志(key)による入魂のヴォイ シングによるピアノアレンジが施されており、『GLACIER』ツ アーのときと全然違う印象が興味深い。グッとアダルトでスケール 感たっぷりなバラードの装いである。さらに驚かされたのは同様に ピアノセットで披露された「時の渚」で、荘厳ながらもストイック なメロディが印象に残った。同様に意外な線といえばエレクトリッ クセットでの「ILLOGIC」も挙げられるだろう。「世界は光に 満ちあふれてる」と両極にある歌詞が今聴くと非常に興味深かった り…。本編の締めは久しぶりに森雪之丞とのソングライターコンビ が復活した新曲「It’s Alright, Daddy」「Do-It- Again」。『HORIZON』は集大成意味合いとともに松井常松の 未来も提示されているアルバムであり、「YOROKOBI NO UTA」 で始まり新曲で幕を下ろす構成は狙いだったはずだ。

 とは言え、これでやすやすと帰路につくようなオーディエンスで はない。当然のごとく引っぱりだされてのアンコールは、「おそら くみんなが聴きたい曲はこれじゃないかな」とのMCで披露さ れた「あの頃僕らは」。あの頃を歌うとともに現在、そして未来を 誓う歌詞が普遍なものとなっていることも16年を経て僕らは 知ったのだ。そしてダブルアンコールでは年末発売のR&Rカヴァーアルバム『RAVE ON』より、バディ・ホリーのヒットナ ンバー「RAVE ON」をいち早く披露してフィナーレ。90 分あまりと幾分コンパクトな内容ではあったが、“Nylon Nights”で育んできたフレンドリーなMCも随所で織り交ぜて の実にハッピーなステージだった。そしてソロライブの最新にして 最高のステージングだったのではないか? ソロデビュー20 周年を経た松井常松がベース、あるいはナイロン弦ギターを手にし て、コンスタントにステージに立ってくれることを欲するのはオー ディエンスの創意だと思うが、ソロアーティスト/フロントマンと して新たな黄金期に入っている手応えは間違いなく感じられたので ある。そして2009年はこれで終わりじゃない。年末には PERSONZをゲストアクトに渋谷サイクロン公演も待ち受けている。ま たベースを手に歌い上げる松井常松の姿がそこにはあるはずだ。待 ちわびた11年は氷解しつつあるのだ。

Player 北村和孝
http://www.player.jp/

松井常松

2009.12.8

ライブレポート
ヴォーカリスト/ベーシストとしてさらなる進化を見せた20TH ANNIVERSARY “LIVE HORIZON” 11月8日(日)表参道FAB

 松井常松は近年、ナイロン弦ギターを手にヴォーカリスト/ソン グライターとして活動の場を広げてきた。また昨年から今年にかけ てはソロデビュー20周年を見据えての準備を水面下で続けて きたせいか、イベントなどを除いては2年振りとなったライブであ る。さらにベースを弾き歌うライブにいたってはなんと11年 振り! 自身の集大成であると同時に今後の予告編を織り交ぜた待 望のニューアルバム『HORIZON~20TH ANNIVERSARY~』 (ハドソンミュージックエンターテイメント)をリリースして、札 幌、東京、福岡と全国3カ所のツアーが遂に実現である。これを 待っていたひとは多かった。実際僕が足を運んだ表参道FABで は開演時刻前から「アニキーっ!」「松井ーっ!」と開演を待ちき れない声が響いていたほど。ポール・ウェラーのベスト盤が開演前 BGMで流れる中、老若男女問わず広い層のオーディエンスでみるみる うちにフロアが埋まっていく。彼らのうちの何割かは間違いなく BOφWYは後追いなんだろう。気になるステージにはキーボー ド、マニピュレートシステム、ドラム、ギターアンプ、そしてベー スアンプが並んでいる。そして中央にはファクターベース! 後に これをモチーフにゾディアックワークスでカスタムメイドベースを 作るほど松井常松にとってお気に入りの1本だが、いまだ先進性を 失わないデザインフォルムが何処かニューウェーヴィなイメージを も醸し出している。 “LIVE HORIZON”の相棒として選んだのは 演奏性とともにその辺の想いも大きかったのではないか。

 バンドメンバーによる「Bible Of The Dreams」をオープニ ング代わりに、サングラスにレザージャケットの松井常松が満を持 しての登場。ファクターベースを手にしてファットなベースリフを 刻みだす。この瞬間、“松井常松が還ってきた!”というタイトル ロゴが脳裏の映像に浮かび上がった。一見クールだがヒリヒリする ような熱と鋭利さをともなったバンドサウンドが見事なオープニン グを演出する。さらには稲葉 智(g)がファンにはお 馴染みのディレイリフを刻みだして、松井常松のソロデビューを飾った 「YOROKOBI NO UTA」が奏でられていく。あえてヴォーカルレ ス、ソリッドなベースラインを主軸に備えた『HORIZON』アレ ンジによってプレイされた。さらにファンとの再会を祝すようにこ れまたお馴染みのシャッフルビートナンバー「抱きしめたい」へ。 プレイスタイルとしてはベースを弾きながらヴォーカルを取りつ つ、歌に集中する部分に関しては同期でベースサウンドを鳴らす“BLACK AND WHITEツアー”以後で踏襲されているスタイル。ただ当時を振り 返ると、弾いている音と同期の音の差の違和感をやや感じた場面も あったのを思い出すが、久々のツアーにおいてその辺の違和感など は皆無。手元が観えなかった後方のオーディエンスにはフルでベー スを弾きながら歌っていたように聴こえたはず。息の合ったバンド アンサンブルも魅力的だったが出音のバランスの良さ、クリアさも 素晴らしかった。それにしても今回のツアーで特筆すべきはヴォー カリスト・松井常松の進化だろう。十八番の8ビートにリアレンジ された「SHADOW OF THE MOON」を筆頭に、「密室の BALLERI」「WORK!WORK!WORK!」などの『HEAVEN』収録 曲で、そのウェットで滑らかなかつ伸びやかなヴォーカリゼーション が“Nylon Nights”を経て確立されているのを感じた。

 また「PVも撮ったしこの曲を演らないわけにはいかないよ ね」と披露された「WORKING MAN」、エレクトリックアレンジ では初披露の「RAIN IN MY HEART」「LIKE A CHILD」の BOφWYセルフカヴァーも今回の大きな観どころ。特 に“1、2!!”カウントが加味されたりアレンジ「WORKING MAN」は早くもオーディエンスに浸透しており、みんなでカウントを 叫んでいた。「WORKING MAN」は今後ライブの定番レパート リーになるのではないか。そしてヴォーカリスト・松井常松を強く 感じさせたのは中盤のピアノセットである。「WEDNESDAY」は 『GLACIER』のダンスビートアレンジと異なりピアノアレンジ でしっとりと聴かせるのがライブでの定番。とりわけ 『HORIZON』では堀田健志(key)による入魂のヴォイ シングによるピアノアレンジが施されており、『GLACIER』ツ アーのときと全然違う印象が興味深い。グッとアダルトでスケール 感たっぷりなバラードの装いである。さらに驚かされたのは同様に ピアノセットで披露された「時の渚」で、荘厳ながらもストイック なメロディが印象に残った。同様に意外な線といえばエレクトリッ クセットでの「ILLOGIC」も挙げられるだろう。「世界は光に 満ちあふれてる」と両極にある歌詞が今聴くと非常に興味深かった り…。本編の締めは久しぶりに森雪之丞とのソングライターコンビ が復活した新曲「It’s Alright, Daddy」「Do-It- Again」。『HORIZON』は集大成意味合いとともに松井常松の 未来も提示されているアルバムであり、「YOROKOBI NO UTA」 で始まり新曲で幕を下ろす構成は狙いだったはずだ。

 とは言え、これでやすやすと帰路につくようなオーディエンスで はない。当然のごとく引っぱりだされてのアンコールは、「おそら くみんなが聴きたい曲はこれじゃないかな」とのMCで披露さ れた「あの頃僕らは」。あの頃を歌うとともに現在、そして未来を 誓う歌詞が普遍なものとなっていることも16年を経て僕らは 知ったのだ。そしてダブルアンコールでは年末発売のR&Rカヴァーアルバム『RAVE ON』より、バディ・ホリーのヒットナ ンバー「RAVE ON」をいち早く披露してフィナーレ。90 分あまりと幾分コンパクトな内容ではあったが、“Nylon Nights”で育んできたフレンドリーなMCも随所で織り交ぜて の実にハッピーなステージだった。そしてソロライブの最新にして 最高のステージングだったのではないか? ソロデビュー20 周年を経た松井常松がベース、あるいはナイロン弦ギターを手にし て、コンスタントにステージに立ってくれることを欲するのはオー ディエンスの創意だと思うが、ソロアーティスト/フロントマンと して新たな黄金期に入っている手応えは間違いなく感じられたので ある。そして2009年はこれで終わりじゃない。年末には PERSONZをゲストアクトに渋谷サイクロン公演も待ち受けている。ま たベースを手に歌い上げる松井常松の姿がそこにはあるはずだ。待 ちわびた11年は氷解しつつあるのだ。

Player 北村和孝
http://www.player.jp/

2009.12.8

ライブレポート
ヴォーカリスト/ベーシストとしてさらなる進化を見せた20TH ANNIVERSARY “LIVE HORIZON” 11月8日(日)表参道FAB

 松井常松は近年、ナイロン弦ギターを手にヴォーカリスト/ソン グライターとして活動の場を広げてきた。また昨年から今年にかけ てはソロデビュー20周年を見据えての準備を水面下で続けて きたせいか、イベントなどを除いては2年振りとなったライブであ る。さらにベースを弾き歌うライブにいたってはなんと11年 振り! 自身の集大成であると同時に今後の予告編を織り交ぜた待 望のニューアルバム『HORIZON~20TH ANNIVERSARY~』 (ハドソンミュージックエンターテイメント)をリリースして、札 幌、東京、福岡と全国3カ所のツアーが遂に実現である。これを 待っていたひとは多かった。実際僕が足を運んだ表参道FABで は開演時刻前から「アニキーっ!」「松井ーっ!」と開演を待ちき れない声が響いていたほど。ポール・ウェラーのベスト盤が開演前 BGMで流れる中、老若男女問わず広い層のオーディエンスでみるみる うちにフロアが埋まっていく。彼らのうちの何割かは間違いなく BOφWYは後追いなんだろう。気になるステージにはキーボー ド、マニピュレートシステム、ドラム、ギターアンプ、そしてベー スアンプが並んでいる。そして中央にはファクターベース! 後に これをモチーフにゾディアックワークスでカスタムメイドベースを 作るほど松井常松にとってお気に入りの1本だが、いまだ先進性を 失わないデザインフォルムが何処かニューウェーヴィなイメージを も醸し出している。 “LIVE HORIZON”の相棒として選んだのは 演奏性とともにその辺の想いも大きかったのではないか。

 バンドメンバーによる「Bible Of The Dreams」をオープニ ング代わりに、サングラスにレザージャケットの松井常松が満を持 しての登場。ファクターベースを手にしてファットなベースリフを 刻みだす。この瞬間、“松井常松が還ってきた!”というタイトル ロゴが脳裏の映像に浮かび上がった。一見クールだがヒリヒリする ような熱と鋭利さをともなったバンドサウンドが見事なオープニン グを演出する。さらには稲葉 智(g)がファンにはお 馴染みのディレイリフを刻みだして、松井常松のソロデビューを飾った 「YOROKOBI NO UTA」が奏でられていく。あえてヴォーカルレ ス、ソリッドなベースラインを主軸に備えた『HORIZON』アレ ンジによってプレイされた。さらにファンとの再会を祝すようにこ れまたお馴染みのシャッフルビートナンバー「抱きしめたい」へ。 プレイスタイルとしてはベースを弾きながらヴォーカルを取りつ つ、歌に集中する部分に関しては同期でベースサウンドを鳴らす“BLACK AND WHITEツアー”以後で踏襲されているスタイル。ただ当時を振り 返ると、弾いている音と同期の音の差の違和感をやや感じた場面も あったのを思い出すが、久々のツアーにおいてその辺の違和感など は皆無。手元が観えなかった後方のオーディエンスにはフルでベー スを弾きながら歌っていたように聴こえたはず。息の合ったバンド アンサンブルも魅力的だったが出音のバランスの良さ、クリアさも 素晴らしかった。それにしても今回のツアーで特筆すべきはヴォー カリスト・松井常松の進化だろう。十八番の8ビートにリアレンジ された「SHADOW OF THE MOON」を筆頭に、「密室の BALLERI」「WORK!WORK!WORK!」などの『HEAVEN』収録 曲で、そのウェットで滑らかなかつ伸びやかなヴォーカリゼーション が“Nylon Nights”を経て確立されているのを感じた。

 また「PVも撮ったしこの曲を演らないわけにはいかないよ ね」と披露された「WORKING MAN」、エレクトリックアレンジ では初披露の「RAIN IN MY HEART」「LIKE A CHILD」の BOφWYセルフカヴァーも今回の大きな観どころ。特 に“1、2!!”カウントが加味されたりアレンジ「WORKING MAN」は早くもオーディエンスに浸透しており、みんなでカウントを 叫んでいた。「WORKING MAN」は今後ライブの定番レパート リーになるのではないか。そしてヴォーカリスト・松井常松を強く 感じさせたのは中盤のピアノセットである。「WEDNESDAY」は 『GLACIER』のダンスビートアレンジと異なりピアノアレンジ でしっとりと聴かせるのがライブでの定番。とりわけ 『HORIZON』では堀田健志(key)による入魂のヴォイ シングによるピアノアレンジが施されており、『GLACIER』ツ アーのときと全然違う印象が興味深い。グッとアダルトでスケール 感たっぷりなバラードの装いである。さらに驚かされたのは同様に ピアノセットで披露された「時の渚」で、荘厳ながらもストイック なメロディが印象に残った。同様に意外な線といえばエレクトリッ クセットでの「ILLOGIC」も挙げられるだろう。「世界は光に 満ちあふれてる」と両極にある歌詞が今聴くと非常に興味深かった り…。本編の締めは久しぶりに森雪之丞とのソングライターコンビ が復活した新曲「It’s Alright, Daddy」「Do-It- Again」。『HORIZON』は集大成意味合いとともに松井常松の 未来も提示されているアルバムであり、「YOROKOBI NO UTA」 で始まり新曲で幕を下ろす構成は狙いだったはずだ。

 とは言え、これでやすやすと帰路につくようなオーディエンスで はない。当然のごとく引っぱりだされてのアンコールは、「おそら くみんなが聴きたい曲はこれじゃないかな」とのMCで披露さ れた「あの頃僕らは」。あの頃を歌うとともに現在、そして未来を 誓う歌詞が普遍なものとなっていることも16年を経て僕らは 知ったのだ。そしてダブルアンコールでは年末発売のR&Rカヴァーアルバム『RAVE ON』より、バディ・ホリーのヒットナ ンバー「RAVE ON」をいち早く披露してフィナーレ。90 分あまりと幾分コンパクトな内容ではあったが、“Nylon Nights”で育んできたフレンドリーなMCも随所で織り交ぜて の実にハッピーなステージだった。そしてソロライブの最新にして 最高のステージングだったのではないか? ソロデビュー20 周年を経た松井常松がベース、あるいはナイロン弦ギターを手にし て、コンスタントにステージに立ってくれることを欲するのはオー ディエンスの創意だと思うが、ソロアーティスト/フロントマンと して新たな黄金期に入っている手応えは間違いなく感じられたので ある。そして2009年はこれで終わりじゃない。年末には PERSONZをゲストアクトに渋谷サイクロン公演も待ち受けている。ま たベースを手に歌い上げる松井常松の姿がそこにはあるはずだ。待 ちわびた11年は氷解しつつあるのだ。

Player 北村和孝
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